Takashi Nagai
使いやすいツールと使いにくいツールの見極め方
私たちは、ツールには操作性やデザインがとても重要な要素だと思っています。 ですが、業務システムは往々にしてこの操作性やデザインがないがしろにされます。
なぜそうなってしまうのでしょうか。
そもそも、業務システムは現行業務をこなせれば良いのであって、多少使いにくくても業務ができれば良いと考えられています。 使いにくいとその分時間を余計に使って非効率になる、とは考えません。
それは、システム化すること自体で効率が上がるので、使いにくいことによるロスは考える必要がないと思われているからです。 なおかつ、予算や期間が決まっている中で開発するので、どうしても操作性やデザインは二の次になってしまいます。
システム開発には、操作性やデザインというタスクがない
実は、通常のシステム開発のWBS(タスク表)には、機能と非機能という分類しかありません。操作性やデザインという分類は、システム開発には不要なものと考えられているのです。
しかも、これはパッケージ製品にも同じことが言えます。 業務パッケージ製品は、業務システムを汎用的にして、どの会社でも使えるようにしたものです。 もともとの業務システムに操作性やデザインが考慮されていないで、そのままパッケージになったものが結構あります。
ここで、パッケージ製品とツールの違いをお話ししたいと思います。 併せて業務システムの定義もお伝えします。
ここではそれぞれを以下のように定義づけています。
業務システム:業務を効率化するために企業が独自に開発するシステム。経理や人事、営 業システムなど。パッケージ製品を使う場合もある。パッケージ製品:SAPやSalesFaceなどの汎用的な業務システムとして販売されているもの。ツール:パッケージ製品の一部ではあるが、SAPなどの大規模なものではなく、特定の業務に特化した小規模なもの。
機能とデザイン
では、「使いやすい/使いづらい」というには、何で決まるのでしょうか?
答えは、「機能」と「デザイン」です。
それらが複合して操作性に影響します。 操作性が良いと使いやすくて、操作性が悪いと使いづらいとなります。
例えば、日付を入力するときに、日付を直接打ち込むのは面倒ですよね。 カレンダーを表示して、日付を選べるようにすると、クリックだけで指定の日付が入力できて楽です。
では入力するとき、カレンダーの初期値はどうなっていると良いでしょうか? その項目が未来の日付を入れるものだったら、カレンダーに今日以前の日付は不要ですよね。 さらに、カレンダーには何日先まで表示させるのが良いでしょうか?
この例の場合は、カレンダー表示で日付を選べるようにすることが「機能」で、カレンダーの初期値をどうするか、何日まで表示するかなどが「デザイン」なんです。
カレンダー表示機能は、通常は機能として設計書に書かれます。ですが、初期値や何日まで表示するかは、設計書には書かれていません。
細かいことですが、こういったことを考え抜いて作られているかいないかで、操作性は大きく変わります。 日付入力するときは、常にキーボードから打ち込まなくてはならないとか、カレンダーは表示されるけど常にその月の1日が表示されるとか、未来の日付しか入力できないのに、過去の日付が選べてしまう、といったシステムが、あなたの身近にもきっとあると思います。
操作性やデザインを考えるスキル
操作性やデザインを考えるには、機能を考えるのとは別のスキルが必要です。 でも、SEという職種には、そのスキルは求められていません。
SEはユーザー要件をまとめることができ、それをコンピューターで実現する方法を考えて、システム開発で実現することが求められています。操作性やデザインは二の次です。
SEは、要件定義から始めて設計へと進めていく中で、「機能」を決めていきます。 機能はすでに存在しているので、要件を満たす機能を見つければ良いのです。 しかし、操作性やデザインは創造しなくてはなりません。 ある意味芸術みたいなものです。センスが求められます。
SEは機能を見つけて機能間の整合をとって、組み立てることを求められてきたので、芸術的なセンスは磨いてきませんでした。 そういったSEが作った業務システムをベースにしたパッケージを作ったら、操作性やデザインが良くなるわけがありません。
でも、SEの中には、操作性やデザインに目覚めるものもいます。そういったSEをうまく活用して、より良いものを作るのが開発/販売会社の使命だと思います。
ここでデザインと言っているのは、ボタンの位置や大きさ、プルダウンにするかドロップボックスにするかなどの使いやすさに関するデザインであって、綺麗な絵を入れたり、見た目をかっこよくするような一般的に言われるデザインとは別ですので、ご注意ください。
使いやすいかどうかは、使ってみないとわからない
ツール選定するときに、操作性の検証をどのようにやるか、何をもって操作性が良いとするかは、とても悩むところです。下手をすると選定する側も諦めて、操作性という項目を、選定項目から削除してしまいかねません。
でも、使いにくいツールを導入してしまったら、その後何年も後悔してしまいます。
そうならないためには、どうすれば良いでしょうか?
やはり、ツールを使ってみるしかありません。
最近のアプリは試用版があります。ものによっては機能やデータ量限定の無料版があって、まずはそちらを使って、よければ有料版に移行するパターンが多くなっています。無料トライアルというのもあります。
ツールの選定時は、それらができるものが大前提です。 機能比較も大切ですが、それ以上に操作性を比較すべきです。試用版やトライアルがないツールは、もしかすると操作性に自信がないのかもしれません。
ツールを試しに使うときは、操作性に関する評価項目を明確にしましょう。 もし現在使っているツールのリプレースなのであれば、使っているツールの問題点を洗い出していることでしょう。 その中に操作性に関するものはありますか? なければ操作性の問題点もすべて洗い出して評価項目に加えましょう!
私たちも業務システムをパッケージ化しましたが
私たちが販売している業務指示ツール「WOMS」も、実は業務システムをパッケージにしたものです。 私たちはパッケージ化するにあたって、操作性やデザインをとことん見直しました。 実際に利用される方が、使いやすく、わかりやすいシンプルなツールであることを目指しました。 なので日本にある業務指示ツールの中で、操作性は一番だと思っています!
トライアル版をご用意していますので、ぜひトライアルを申し込んで、使ってみてください。