Takashi Nagai
WOMSは15年前からあった?(前半)
更新日:2019年5月6日
「業務指示ツールのWOMSは、今から15年前に作り始めました。当時は私が知る限り、業務指示をIT化しようと考えているところはなかったですね。なので業務指示ツールに特化したものは業界初だったのかもしれません。」
と冗談を話すのは、右の写真の方、WOMSの生みの親、 菱洋エレクトロ株式会社 ICT第二本部第三ビジネスユニット長の音川健治氏です。
今回は、15年前にWOMSを作り始めて、現在もWOMS開発・販売責任者を担当されている、音川氏に、開発のきっかけや苦労話、WOMSへの想いを熱く語っていただきました。 インタビューの前半をお届けします。
WOMSを作ったきっかけ
今から15年前、チェーンストアをやられているお客様に、弊社はインフラ基盤のビジネスをご提供させて頂いていたんですけども、ある時本部の方に、「現場が混乱してるみたいだ」と言われたんです。
私が「どういう混乱なんですか?」と聞いたところ、それじゃ、店舗に行ってみよう。ということで、お店のバックヤードに入らせていただきました。
そこで私は衝撃を受けました。
至る所に紙の山がありました。机や棚の上、物が置けるところはすべて紙の山で埋まっていました。プリンターの上にも、今にも崩れ落ちそうなくらいの紙の山がありました。壁にも隙間なく紙が貼られていました。
よく見ると、それらはすべてFAXでした。
「これはなんですか?」
私は、この異様な状況に圧倒されながら、質問しました。
「業務指示です。」
と、そのお店の店長が説明してくださいました。
店長によると、業務指示というものが大量にお店にきていて、店長がその対応にとても時間がかかってしまい、本来やらなければならない接客や店員の指導などの店舗運営に支障がでてしまっているとのことでした。店舗運営を優先すると、今度は指示の確認や実施ができなくなってしまい、困っているとのことでした。
その時に、私は初めて業務指示というものがあることを知りました。
でも私は根っからのIT屋なので、この混乱を目の当たりにして、それをITでうまく解決できないかと考え始めました。
それが、WOMS開発のきっかけです。
FAXの山はすべて業務指示ばかりじゃない
バックヤードでFAXの山を見せていただいたときは、その量に圧倒されて、どんな内容だったかまで確認できていなかったので、後日正式に、お客様幹部の方に中身を見せて欲しいと依頼しました。
了解をいただくと、さっそく私はビジネスパートナーの営業さんと一緒に、一枚一枚FAXを見ました。同時にお客様はメールでも業務指示を出していらっしゃったので、メールも閲覧させていただきました。
2週間分で数千件のFAXとメールを、ひとつひとつ地道に見て集計しました。
集計してみると、8割から9割が「緊急」か「重要」という文字がタイトルについていました。それらは業務指示ばかりではなく、単なる連絡もありました。中にはどうでも良いようなものもたくさんありました。どうでも良いものには特に、「緊急」や「重要」がタイトルについていました。
なので店長は、タイトルだけでは自分にとって必要な指示なのかが判断できず、仕方がないので、いちいち内容を読まなければならないという状況でした。
店長は毎朝出勤すると、まず大量のFAXとメールの仕分けをします。
その店長がおっしゃるには、1日で大量の指示が来るので、まず自分がやるべきことを見つけるまで2時間ぐらいかかっているそうです。
これは大きなムダだと思いました。
店長がその2時間をお店のことに使えたら、結果的にお店のレベルが上がって、売上もアップするのではないかと思いました。
というような結果を幹部の方にレポートしたところ、幹部の方は1日の業務指示を半分以下に減らしたいとおっしゃられて、目標が明確になりました。
業務指示を半分以下にする方法
それからが試行錯誤の始まりでした。
目標は決まったものの、当時はどうやればそれを実現できるか、まったく想像できませんでした。モデルになるものや参考にする他システムもなかったので、純粋に想像からスタートしました。
私はIT屋としてまず、どんな画面をお客さんに提供したら情報が集約されるかというのを考えました。そして、それを紙に書いてビジネスパートナーと何度も何度もディスカッションしました。
どうすれば業務指示の数を減らすことができるかを考えていく中で、
業務指示を出す側に問題があるのではないか?
というところに視点がいき、
指示を出す側がもっとお店の状況がわかることが必要ではないか?
と考えました。
そしてそれを実現するためにはどのような仕組みが良いのかというところのディスカッションを繰り返しました。
そうやって、次第に形になっていきました。
指示を出す側に出される側の状況を知ってもらうためにまず、全社的にどのぐらいの分量の情報が出てるのかを明確にすることから始めました。今風に言うと「見える化」というやつですね。そういったところからコンセプトを考え始めました。